国際親善トピックス

〜茶道を通して、日本の心を伝える〜

2014年7月

聞き手:KITA事務局事務課長 豊田 めぐみ

裏千家淡交会ボランティアの皆様並びに研修員

今回は、長年に亘り、KITA国際親善プログラムにおいて、海外からの研修員にボランティアで茶道のご指導をして頂き、研修員の日本文化体験に大いに貢献してくださっている茶道裏千家教授 伊達 宗雅さんにインタビューしました。

−海外研修員への茶道指導のきっかけは?

28年程前、KITAでは、設立母体である北九州青年会議所の方々が研修員を自宅に招いて日本文化の紹介をされていて、私は、同会議所の方のご縁で、気軽に「お茶を一服差し上げる」気持ちで参加させて頂いたのがそもそもの始まりですが、修道している茶道裏千家の家元の講話の中で、スローガンとして「一碗からピースフルネスを」を掲げ、共に一碗のお茶を頂戴することで心開かれていくことを望まれ、世界の平和への懸け橋に、ひいては日本文化の懸け橋となれるよう修道者としての心構えを示されたことに感銘を受け、私も何かお役にたてることがあればとの思いからでした。

−海外研修員への茶道指導に当たり、特に気をつけていることは?

一期一会の境地です。研修員の皆さんにとって、慣れない異国での研修の中で、KITA親善プログラム「西日本工業倶楽部の夕べ」での一盌が思い出深い一服になり、また、束の間の心和む時間となればと思っています。席全体のバランス、季節時候、大きなニュースなど、その日につながる思いを限りある道具の中で取り合わせをしています。茶の文化は 日本の風土によって確立されたものですので、そのことを大切に伝えたいと思っています。和敬清寂の意味と心構えを私共亭主側も毎回実践を心掛け、接しさせて頂く学びの場とさせて頂いています。茶道指導後は、例え夜遅くなっても、必ずボランティアメンバーで意見交換会をします。また、季節によって、参加数によっての対応は都度つど KITA事務局の方へお尋ね致します。そのことが KITA事務局と茶道指導担当者レベルで意識も繋がり 研修員の方へより良いひと時を提供できる努力の賜物だと思っています。



−茶道を通じて伝えたい日本文化の良さは?

一座建立(注1)です。お茶席にかかわらず 研修員の受け入れには、国同士の手立てであるとはいえ、其処に携わっておられますのは、全てお人方です。 出国前からの準備時点から、受け入れる側のそれぞれの方々がこのような気持ちで接することで、KITAの組織も成り立ち、研修員も喜ばれて自国に帰られ、各自国の為にその智慧を使われることを期待しています。お茶にとどまらず、この会に関与する関係皆の気持ちが同じなのだということを伝えたいと思っています。美術的な美しさや鑑賞は美術館でもできるかもしれませんが、気持ちというものは生身の人間同士でなければなかなか伝わりにくいのではないかと思っています。

−国際交流に関して今後取り組みたいことあるいは今後の目標は?

  KITA組織の皆様の端役になれます事が研修員の皆さんへそして世界へつながっていると思っています。 大げさなことは 何もできませんが 何らかの形で研修員の皆さんへは日本文化の懸け橋に、日本人スタッフの皆様へは研修員との交流の場として日本の良さを再確認、発見して頂く契機になれば良いと思っています。幸い茶道には 一通りの日本文化が圧縮され 受け継がれております。広く浅く垣間見ていただくには分かり易い伝統文化ではないでしょうか。

−最後に研修員へのメッセージをお願いします。

一服のお茶のご縁で、このように長い時間続けてこられましたことを心から感謝しています。知らず知らずのうちに積み重ねられた経験から多くの学びを頂戴していました。日本文化の継承者たちの思いのこもった一盌を服してくださってありがとうございます。「TEA CEREMONY」や「MACCHA」という言葉を日本の思い出とし、帰国してからも時々は思い出して頂けたら充分に幸せです。

お尋ねする質問に対して、一つ一つ非常に丁寧にお答え頂き、伊達さんの何事にも真摯な姿勢が窺えるインタビューでした。 伊達さん、貴重なお時間をありがとうございました。 これからも末永く海外からの研修員の日本文化体験にご協力の程お願い致します。


呈茶体験風景