特設コーナー 企業訪問

株式会社「辻利茶舗」様  KITA研修では大変お世話になりました!
“Glocal” で世界へ羽ばたくチャンピオン商品を目指して

2020年1月

コースリーダー 中島 康紀

辻社長の熱きご講義に聴き入る研修員

途上国においては、先進国市場をターゲットに「売れる商品」を開発して輸出振興を図ることが重要な課題となっています。

しかしながらなかなか付加価値商品開発や輸出商品の多様化ができていない現状があります。

その打破のためのJICA研修「先進国市場を対象にした輸出振興/マーケティング戦略」コースの一環として中南米地域の研修員と一緒に(株)辻利茶舖をお訪ねし、辻社長のお話を伺う機会を得ました。

辻利茶舖は辻利右衛門が萬延元年(西暦1860年)に辻利を創業したことに端を発するそうですから、約160年の歴史を有する老舗です。

辻利という名の茶舖は他所にもありますが、源は同じで簾分けなどにより別法人となっているそうで、小倉の辻利茶舖は1956年に法人化され現在の辻史郎社長で7代目になります。

業界に先駆けて店内に日本茶をベースにした喫茶コーナーを設置するといった先進的な取り組みで知られていますが、現在はそれだけにとどまらずお茶文化や歴史背景を反映させた抹茶スイーツといったユニークかつ高品質な商品を開発し地場だけでなく、海外へも広く展開(12カ国46店舗)されている北九州で最も元気のある企業の一つです。


ミニ茶会を楽しむ研修員
今回研修の目的は、そのような商品開発や海外展開の考え方、進め方をご講義いただくともに店舗で実際の商品などを確認することで自国のチャンピオン商品開発の足掛かりを得ることにあります。

最初のご講義では、辻社長のパッションにあふれたお話を研修員全員食い入るように聞いていました。

特に、辻利茶舖のコンセプトの核である『ビジョンはグローバルに』『スタンスはローカルに』を総称した『GLOCAL』(GlobalとLocalを合わせた造語)は辻利の商品、例えば自国文化や歴史に根差した「抹茶」を材料に世界に通用する商品(抹茶スイーツなど)を開発するといった、まさにチャンピオン商品開発のキーコンセプトといえるもので、研修員も深く感じるところがあったようです。

店舗見学では、京町本店を訪問し2階にあるスイーツ加工場でプリン製造の見学をさせていただきました。

辻利のスイーツは基本店舗販売のみで加工はすべて社内とのことです。それだけ品質に対して厳しい態度で臨まれていることが分かります。


京町本店前での記念写真
高品質はもちろんですが品質の均質化にも非常に注意を払っていらっしゃるようでした。

例えば、プリンでは夏場・冬場で外気温が違うので蒸し時間はオーブン温度×時間ではなくプリン内部温度を測定してそれで設定されているそうです。

売れる商品のベースには、良いモノづくりがあるということの良いお手本だと言えます。

また、辻社長自らレクチャーいただいて、カジュアルなミニ茶会を催していただき研修員一同大喜びでした。

最後に、辻社長の「あなた方の国々にも、きっと茶に匹敵する文化や歴史のある材料があるはずだ。

それを世界に通用する商品にすることを期待している」との熱いメッセージをいただきお店を後にしましたが、実に充実した研修となりました。

このような素晴らしい研修先はなかなかありません。

引き続きお願いできればと考えています。



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