“潟Wェー・フィルズ殿の海外展開を支援”
JICA中小企業海外展開支援事業 〜 案件化調査を終了しました
2017年7月
技術協力部長 麻原 伴治 部長専門員 宮田 利勝 部長専門員 石川精一
セミナーにおけるデモ風景
調査の過程はKITAニュースNO.45、NO.46で報告しているので詳細は省きますが、概ね以下の通りです。
ベトナムは急速に進む経済発展の下で、主要都市部への人口集中や地方都市における産業構造の変化などの影響により、様々な環境汚染が顕在化しています。とりわけ汚水処理施設の整備が不十分なことによる河川や運河の水質汚濁が深刻な中、河川等の水質改善には公共の下水処理施設の建設整備だけでなく、工場や施設など発生源に対する個別排水対策が喫緊の課題となっています。
このような課題を抱えているベトナムに株式会社ジェー・フィルズ(北九州市戸畑区、谷一身代表取締役)殿が開発された、酵素を活用した画期的な排水処理システムを適用すべく調査活動を行ってきました。
@河川汚染の元凶のひとつである市街地に立地する海産物卸売市場でのパイロット
プラントによる実排水処理テスト実施
Aテスト結果の報告を含めた現地技術セミナーの開催
その足がかりとして実機での実証を協働で実施することで合意しました。今後、普及・実証事業への展開を目指します。
この調査事業はいくつもの要因が偶然にもうまく重なり合って実現に至ったもので、その経緯に触れたいと思います。
A)ジェー・フィルズ/谷社長との出会い:北九州市国際ビジネス政策課と共同で実施し
た市内企業の海外展開調査シートにあった一言がきっかけ。
B)KITAのマスタープラン:技術協力部では、コンサルチィングへの取り組みを強化し
ようとしていた時期でもあり、早速潟Wェー・フィルズ/谷社長の元を訪問し排水処
理技術をヒアリング、これまでにない非常に優れた技術であることを確認した。
C)ハイフォン市でのJICA草の根技術協力事業:丁度この時期技術協力部では、ハイ
フォン市地場企業の生産性向上・品質向上に取り組んでいたことから、ハイフォン
市関係者に本排水処理技術の適用を打診した。
D)ハイフォン市外務局長の後押し:元外務局職員だった通訳のビンさんの尽力によ
り、外務局長との直接面会が叶い、その場で本技術を活用したハイフォン市の水質
改善への取組み要請とそのために全面協力する意向が示された。
このような経緯で、JICA中小企業海外展開支援事業〜案件化調査に挑戦し、所期の目的を達成したところです。
今後は前述のように「普及・実証事業」に取組み、関係者がお互いにWin-Winとなれるよう頑張っていきたいと考えています。