技術協力

ベトナム国バリアブンタウ省 環境配慮型及びIT活用型モデル工業団地 管理経営能力強化プロジェクト(その1) new!

2024.05.14

技術協力部 部長専門員 青蝸S治

プロジェクトの実施体制(出典:日本工営)


JCC(Joint Coordination Committee)開催風景(2024年4月25日)
 ベトナム国バリアブンタウ省はベトナム南部に位置し、石油とガスの埋蔵量が豊富で、石油化学、機械、発電、肥料、鉄鋼等の産業に対して大規模な投資が行われています。一方で、1年中海水浴が楽しめる海岸をはじめとした自然環境にも恵まれているため、産業発展と環境保護のバランスをとる政策を進めてきました。

 同省では、2021年から2030年までの期間を対象とした社会経済開発基本計画を策定中であり、計画の目的として「環境に配慮した工業団地の設立の推進」が明記されています。国レベルでは、「工業団地及び経済区域の管理に係る政令」(2018年政令82号)が公布され、2022年改正政令35号により、適切な環境対策(汚染源削減、循環型生産、脱炭素化)を実施している工業団地を「エコ工業団地」と認定する制度ができましたが、その認定についてのガイドラインは未だ策定されていません。


工業団地の全景
 そこで今回のプロジェクトは、バリアブンタウ省におけるガイドライン案を国に先駆けて作成し、2ヶ所の工業団地を対象としたパイロット事業を実施することにより、そのガイドラインがバリアブンタウ省において制度化されることを目的として2023年9月にスタートしました。

 前述の政令35号では、エコ工業団地の認定条件として、「工業団地で少なくとも1つの産業共生を実施し、工業団地で産業共生に参加する企業は、適切な国際標準化機構(ISO)の基準に従って生産及び環境管理のためのシステムを適用しなければならない」とされています。

 北九州市が産業共生とクリーナープロダクションの考え方を用いてエコタウン事業を具現化していること、また北九州市がハイフォン市でエコ工業団地支援を行っていることから、北九州市へ協力要請がなされました。KITAからは、産業共生(北九州エコタウンのような企業間連携)の専門家として、この事業に参加し、現地でバリアブンタウ省の機関や工業団地との協議や北九州エコタウンに関するセミナーを開くとともに、省政府担当者や工業団地関係者に対する2度の訪日研修を実施する予定です。