技術協力

草の根技術協力事業「フィリピン国ダバオ市における一般廃棄物処理システム構築プロジェクト」 new!

2025.03.19

技術協力部 部長専門員 近藤保光

事業成果報告フォーラム


ごみ処理プロセスのマニュアル(資源化物編)
 
 JICA草の根第1期プロジェクトは、ごみの減量・分別の住民啓発とごみ分析に関する人材育成などをテーマに取り組みました。このプロジェクトを通じて明らかになった課題のひとつは、一般廃棄物の収集・運搬の改善と資源化物回収のより一層の推進でした。これらの課題に取り組むため、草の根第2期プロジェクトを2022年に開始し、この度、3年を経過して事業を終了しました。



生ごみ減量挑戦者表彰
 事業は市内最大のバランガイ(自治体最小単位)76AのZone4(人口1万人) を事業対象地区に選定し、カウンターパートは市の環境天然資源局(CENRO)とバランガイのCaptain(首長)、行政官及び現地活動を担った地区リーダー他のメンバーでした。事業はTrial1及びTrial2の2つのステージで行われました。内容は、容器を使った生ごみの減量、サブコレクションポイントを設けた効率的ごみ収集及び資源化物ステーション(ストックケージ)を利用したリサイクル推進、更に廃棄物の収集・運搬のためのカートと自動三輪車の導入・運用でした。これらは、ごみの減量と廃棄物の収集・運搬の一貫システムの構築を目指したものです。


資源化物ストックケージ
 一方、対象地区の小学校において「廃棄物減量を意識する将来世代を育てる」をテーマに、ごみ回収コンペや学校内外の一斉清掃などの行事を行いました。事業途中でCaptainが変わるなどの困難に直面しましたが、新たなCaptainには事業の意義を理解して頂き、積極的な協力を得て、本年2月に最終報告会フォーラムの開催にこぎ着けることができました。

 フォーラムでは、ダバオ市の行政官、日本国ダバオ総領事、各バランガイCaptain他のご出席の下、環境天然資源局(CENRO)他による成果報告が行われました。事業対象地区の人々によるディスカッションでは、JICA事業によって、ごみの散乱がない綺麗な街に変貌しつつあるなどの発言を頂きました。フォーラム出席者からは、「バランガイに深く入り込んで住民の理解を得ながらごみの管理システムの構築に取り組んだことは評価できる」とのコメントを頂きました。


廃棄物収集運搬用自動三輪車
 北九州市はダバオ市と環境姉妹都市協定を結んでおり、一般廃棄物焼却炉建設事業の推進と同時に、更なる関係強化を目指して今秋に継続事業を提案する予定です。