技術協力

「中国・昆明市水環境改善研修」が終了

2015.11

コースリーダー 鶴田 三郎

昆明市の南部に位置する填池は、同市の経済発展に伴い水質汚染が進みましたが、「水環境改善」研修の効果が現れ「高原の明珠」を取り戻しつつあります。

瀑布公園(填池導水管開渠部)


汚染が酷かった頃の填池
中国雲南省の省都である昆明市の南部に位置する填池は、かつて「高原の明珠」と呼ばれその美しさを称えられていましたが、同市の経済発展に伴い填池に流入する未処理の下水が年々増加し、富栄養化により填池の水質が農業用水としての使用も不可となるまで悪化しました。填池は中国の環境汚染の代名詞である「三河三湖(3つの汚染された河と湖)」の一つに数えられ、中国政府から環境保護の重点地域に指定されました。

昆明市人民政府は、「昆明市国民経済社会発展第10次五カ年計画」及び「昆明市主要部排水マスタープラン(2005〜2030年)」等を策定し、国際協力銀行が、第7下水処理場(20万㎥/日)の新設、既存6処理場の能力増強、管路網の整備等の「雲南省昆明市下水道整備事業」に円借款を供与しました。

北九州市とKITAは、JICAから「雲南省昆明市水環境整備事業」に係る提案型調査を受託しました。北九州市の過去(2006年)の激甚な公害を克服した過程で蓄積した技術・経験と下水道事業で蓄積したノウハウを生かし、昆明市の下水道事業の効率的な実施に向けた調査及び提案を行い、昆明市政府との間で日本での研修を実施することに合意しました。
・昆明市下水処理事業の実施・運営に係わる課題の調査と改善提案
・人材育成事業に係る昆明市下水道事業関係者の能力向上を目的とした「雲南省昆明市
  水環境改善研修」の実施

北九州市と昆明市政府は、昆明市関係者の「訪日研修」の円滑実施に協力する旨の覚書を取り交わし、KITAは昆明市填池北岸水環境総合改善工程建設管理局(以下北岸局)と研修実施契約書を締結しました。

「雲南省昆明市水環境改善研修」は、主に北九州地区で行い、@水環境改善の経験、A下水道事業の経営管理、B下水道事業の計画、C管渠施設の維持管理及び先進技術、D下水処理場の運営・管理、E下水処理場の水質管理、F下水汚泥の有効利用(汚泥の消化、汚泥のごみ混焼とセメント原料化)、その他環境教育等について研修を実施しました。
関西地区では、琵琶湖における公害克服の歴史や水質保全対策、等について研修し、東京地区では、@高度処理技術、A下水汚泥の有効利用(汚泥の消化、焼却及び焼却灰の利用等)、B消化ガス発電や処理水の有効利用、E霞ケ浦における水質保全、等について研修し昆明市の水環境関係者の総合的な運営・維持管理等のキャパシティービルディングを目的としました。


2007年3月に第1回の研修が開始され、2014年12月の第10回の研修をもって無事研修が終了し、その間(約8年間)に計81名の研修生を受け入れました。

研修終了に伴い、「フォローアップ調査」を実施しました。本調査は、北九州市上下水道局と供に北岸局を訪問し填池と昆明市の水環境事情の現状説明を受け現場を視察・調査しました。第7処理場は適切に運営・管理されており、閉鎖性湖沼であった填池は新たに導水管を敷設しており、きれいな水が導入され湖水の入れ替えが行われておりました。各処理場の処理水は、填池外に放流されているとのことで填池の水質も改善され近い将来「高原の明珠」を取り戻すものと期待されます。また、最後に研修終了と友好的な協力関係を今後とも続ける確認書に調印しました。


現在の填池


第7,8処理場全景


確認書交換