国際研修部トピックス

2022年度来日研修「持続的な都市開発のための都市経営(A)」コース
3年ぶりの来日研修を終えて

2022年11月11日〜11月28日

コースリーダー 山根信

閉講式での集合写真


研修訪問先での写真1
 ここ数年、世界中の人流を止めたコロナ禍で、当該研修も過去2年間来日研修を中止し、オンライン遠隔研修を実行してきました。幸い、ワクチン接種の普及もあり、コロナ病状の治療の対応状況を考慮し、オンライン遠隔講義中も要望の高かった来日研修を、今年は3年ぶりに復活することにしました。
 ただ、準備期間中に整備すべきテキスト教材については、コロナ禍の流行状況もまだ安定していない時期でしたので、オンライン遠隔研修にも対応できるように、従来の解説通訳付きのビデオ研修教材を作成しました。この教材は、来日研修員にとっては、事前に視聴して講義の内容を把握することができたと好評でした。


研修訪問先での写真2
 今年の研修員は、エジプト・ウガンダ・モルディブ・ベトナム・ラオスから各1名と、スリランカから2名の合計7人で、都市計画を主業務とする国の行政官僚、行政研究スタッフ、行政関係コンサルタントと、それぞれ各国・地方の行政実行官僚・技術スタッフでした。

 講師陣は、公害撲滅・都市交通渋滞の解消や河川改修・都市インフラ住環境の改善等の現在研修員がそれぞれ悩んでいる課題について、北九州市が住民や民間の関係企業とともに、協働で都市計画を作成し、より良い生活を楽しめるように、一緒に努力してきた歴史・経験を紹介しました。


研修訪問先での写真3
 また、ケーススタディーでは講師と研修員同士による現状分析と対策検討,更に講師からの講義と現地視察で、日本でのスマートシティー構想の紹介・東田総合開発の視察、公共活動への積極的な参加を促す住民教育、廃棄物リサイクルタウンのエコタウン視察、都市再開発の紫川マイタウン・マイリバー整備事業の視察、観光資源活用の門司港レトロや公共交通をプライベート企業の立場で担っている西鉄の福岡市の交通・都市開発事業の視察等、持続的な都市開発を実現するための実際の取り組みを実感してもらいました。

 一方、研修員にとって久しぶりの海外生活の刺激もあってか、休みや空き時間での自由散策や広島等への観光小旅行にも活動的でした。また、帰国したら商売でもできるのではないかと思うくらい多量の最新ブランド靴を購入するショッピングを楽しみ、日本国民の穏やかで親切な態度に感銘を受ける等、皆さん良い印象を持ったようで、研修受け入れスタッフとして嬉しく思っています。

 特に視察先では、実際の施設や操業状況を見ての活発な質疑応答があり、来日研修ならではの貴重な経験だったようで、帰国後の研修成果の具体的な活用に役立つものと期待しています。ただ、研修員各国の経済・生活・環境状況はまだ厳しく、日本と同じような整えられたインフラ設備や清潔で丁寧な日本人の躾の良い行動様式を身に着けるのは難しい、との研修員の感想もありました。子供や地域住民の教育から始め、民間活力を積極的に引き入れ、地道に改善していきたいというアクションプランでの発表もあり、彼らの今後の活躍を大いに期待しています。