国際研修部トピックス

2022年度来日研修 水素エネルギー利用の推進〜CO2フリー社会に向けたエネルギー政策〜
「水素」を学ぶ陽気な仲間たち

2023年2月2日〜3月9日

コースリーダー 俵 洋一

研修訪問先での写真1


研修訪問先での写真2
 脱炭素社会に向けた世界各国の取り組みにおいて、「水素エネルギー利用」についての関心が急速に高まっている。九州では、2004年に福岡県水素戦略会議が設立され、2011年には北九州市水素タウンの実証事業が開始されるなど、時代を先取りした活動が展開されてきた。そこで九州を中心とした初の来日研修コースを開催したところ、10カ国11名が参加した(アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、コスタリカ、コロンビア、チリ、メキシコ、モロッコ、セルビア、ウクライナ)。参加者は各国のエネルギー関係省庁の行政官やエネルギー供給企業・公的機関の管理職が中心で、自国のエネルギー構造や脱炭素化に向けた課題を持って来日した。


研修訪問先での写真3
 研修内容は、水素エネルギー利用社会を俯瞰する包括的講義と、水素を「つくる」・「ためる/はこぶ」・「つかう」の各分野の講義で構成し、大学・行政(国・県・市)・企業に講師をお願いした。水素エネルギー利用に関する世界的な潮流や日本の最新技術動向を含む講義と、数多くの研究開発・実証施設の見学により、研修員は期待を超える収穫を得たようだ。福島県浪江町の実証施設の見学は来日前から楽しみにしていた研修員が多かった。また双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館では甚大な災害の実態を知ると共に、エネルギー施設の防災の重要性を再認識していた。自国の水素戦略の策定を担う研修員が多く、研修意欲が極めて旺盛だった。講義や見学説明では質問が絶えることが無く、終了後にも講師を追って追加質問をする姿が多かった。講師陣からは手応えが伝わって講義のやり甲斐があるとの声をいただいた。


研修中の滞在先での写真
 研修員は水素エネルギー利用社会の特徴や可能性と共に、克服すべき課題について多くの情報と気付きを得たようだ。自国の再エネ潜在力と産業構造の特徴を活かしたグリーン水素の輸出構想や水素エネルギー社会の実現に向けた行政施策(教育、支援・誘導)等について、それぞれ研修成果を元に行動計画をまとめて全行程を終えた。


研修訪問先での写真4
 前向きで陽気な研修員が多く、研修コースが終わる頃には全員が家族のように仲良くなっていた。水素エネルギー利用社会の実現に向けて、研修員の今後の活躍を期待したい。