国際研修部トピックス

2024年度研修 脱炭素化に向けた水素利用(A) new!
〜水素エネルギー利用について「知る」を始める〜

2024年9月13日〜2024年10月15日

コースリーダー 俵洋一

川崎重工業殿 水素発電実証施設にて


写真1 九州大学殿 水素材料先端科学研究センターにて
 南米(エクアドル、ウルグアイ)、アフリカ(アンゴラ、エジプト)、アジア(バングラディッシュ、インドネシア、ラオス、モンゴル)からエネルギー分野の行政・公的機関の関係者9名が参加し、計33日間の日程で、KITAはJICAからの委託を受けて講義と見学を実施しました。講義では行政・公的機関、民間企業、学術団体の講師から、水素エネルギー利用に関する(1)基礎知識、(2)世界的な技術・ビジネス動向、(3)国と県・市の行政的な取組み、(4)「つくる/ためる/はこぶ/つかう」という各側面の産業界の最新技術と取組みを学びました。


写真2 千代田化工建設殿 子安リサーチパーク MCHパイロットプラントにて
 見学では福岡県を中心に甲府市、横浜市、草津市、神戸市の計10ヶ所で、研究・試験施設(写真1)や水素の長距離輸送技術(写真2)、水素利用実証施設(表紙写真&写真3)を見学しました。研修員は熱心に講義と見学に取り組んでおり、特に現場では質問が途絶えることがありませんでした。水素エネルギー関連の研修コースは今回で3回目になり、今までの研修員数は延べ23ヶ国から28人になります。研修員は研修中に学びたいテーマを事前に設定して来日します。そのテーマには出身国のエネルギー資源構造だけでなく、地政学的事情や経済事情が色濃く反映されています。再生可能エネルギー資源が豊富な国の研修員は、グリーン水素の自国内利用だけでなく輸出の可能性を学んでいました。化石燃料依存の高い国の研修員は、水素利用により脱炭素化が一層拡大することを学んでいました。


写真3 パナソニック殿 水素利用実証施設(H2 KIBOU FIELD)にて
 当初は緊張気味だった研修員達も日程の進行と共に徐々に打ち解けていき、見学旅行先での施設見学や京都・広島での見学体験を経る頃には研修員同士の距離は一気に縮まり、議論やアドバイスを交わす様子が見られるようになりました。研修員は研修成果に基づく「帰国後の行動計画」をまとめて最終日に発表しました。その方向性は情報普及・啓蒙、政策・制度・ビジネスモデル作り等様々でした。どの方向を進めるにしても最新の正しい情報を「知る」ことが重要です。本研修で水素エネルギー利用に関する最新情報の一端を「知る」ことが出来たと思います。今後はそれぞれの国で「知る」ことを深め、実践へと繋げていくことを期待している次第です。